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やまはた農園 冨澤 太郎さん

太郎さんの野菜は、美しい。
まっすぐな食べ物を食べて、すくすくと育ってきたからなのでしょうか。
現在、山梨県上野原市西原(さいはら)という地区で、長老たちから学びながら農に関わる太郎さん。
太郎さんが農と共に生きるという選択をしたきっかけや
今の農的暮らし、これからの夢について伺いました。

●農のある暮らしをしようと思ったきっかけは何ですか?

東日本大震災をきっかけに自然な暮らしを模索

母親が生活クラブに関わっていたこともあり、
小さい頃から自然に触れる暮らしをしていました。
横浜の中区という都会にいながら、
父に連れられて全国を山歩きするなど、
自然が好きな気持ちがもともとあったのです。
農に関わろうと思ったきっかけは、東日本大震災。
電気や水が止まる地区もあって、
生活インフラが災害で立ち行かなくなることを体感し、
自然の中で暮らしたいと思いました。
食と暮らしを変えたい。
いろいろな農家さんのところに行ったり、
都内でマルシェのボランティアスタッフをしたりしはじめました。

●西原に移住したのはなぜですか?

鍬一本で自給自足する年配者たちから刺激を受ける

6年前くらい前、西原に通っている知人についていきました。
そこで行われていたのは、他の農家にはみられなかった、
ガソリンや燃料を使わない農業でした。
西原では、80歳代、90歳代の方が杖をつきながら
鍬一本で働いています。
その方達と交流するうちに、
今まで全て人力で自給自足をしてきて、
お金を稼ぐためにお蚕を飼ったりしていたという昔話を聞きました。
トラクターで果てしなく広い畑を耕す経済農業ではない
農業というものもあるのだと刺激を受け、
もうこれは通っている場合じゃないと思ったのです。
地元の人にはやめた方がいいと言われたのですが、
嫌なら出て行くからといって、とりあえず移住しました。

●西原ですぐに畑をはじめられたのですか?

鎌と鍬を基本に、五穀を栽培していきたい

地元の人が助けてくれました。
農業の補助金が出るようにしてくれたり、
昔の農業も現代の農業も教えてくれたのです。
最初はあえて鍬一本で耕す農法にこだわりました。
今では暮らしを作るために効率化していますが、
基本は鍬と鎌だと思っています。
畑を五反借りて、
野菜、雑穀、麦、大豆などを栽培しています。
五穀を大切にしたいので、陸稲もやってみたいですし、
大豆も本格的に手掛けたいと思っています。

●どんな農業を目指していますか?

自分で食べるために育てているのが基本だから、農業とは違う

農業をしたくて農家をやっているのではなく、
暮らしの部分がやりたいのです。
自分の手で食べるものを生み出すことが生業になった瞬間、
お金に変えるための農業になってしまうと思います。
自分で食べるために育てるのはもちろんですが、
どれだけの場所で一ついくらで売ればいいのかという
経済的なことも考えなくてはいけません。
それは汗をかいて農に携わることと相反すると違和感を感じながら、
穀類は特に自分が食べるために育てています。
雑穀なども、見渡す限りの畑にして機械化しないと効率化はできませんから、
苦労は多いですですが、今後も広げていきたいと思っています。
一人では限界があるので、今後年会費を募って返礼品を出し、
作業を手伝ってもらうことも考えています。
栽培するだけでは魅力がないので、
持続可能な道を探っていきたいです。

●栽培方法は?

植物性堆肥は身の回りにある、顔の見えるものを100 %使っている

無農薬、無化学肥料です。
有機肥料は、動物性肥料も積極的に使っています。
昔から家畜として動物を飼っていたので自分が育てた鳥や馬の堆肥を使うのが理想です。
植物性肥料は夏に刈った草やススキのカヤなどを敷き藁にしたり、
落ち葉で腐葉土を作ったりと身の回りにあるものを使っています。
コストとの兼ね合いもありますが、
今後は動物性肥料も顔の見える関係のものを使いたいです。

●太郎さんの野菜が美味しいのはなぜでしょう?

誰よりも寒い場所だから、野菜のうまみや甘みが違う

西原の畑は山間地、傾斜地で水はけが良いというのが特色です。
標高が600mあり、朝晩の気温差があるから
野菜の味がのります。
夏も熱帯夜がなく、夜温が20度を切るときもあり、
冬はマイナス10度が何日も続くから、
野菜の甘みが違うのです。
誰よりも寒いところでやっていますから、
甘みはすごいと思います。

●今後はどんな暮らしを目指していますか?

自然にかなった露地栽培と林業を合わせた農林業で暮らす

今は電気、ガス等に頼っていますが、
今後は林業に関わり、まきストーブ、囲炉裏、掘り炬燵などを活用し、
電気に頼らない生活をしたいと思っています。
自然にかなった露地野菜を栽培していると、
1月~4月末までどう暮らすのか?という壁にぶち当たります。
11月~1月に木を切って、2月~4月に加工する
モデルを作りたいと思っています。
最近、旧暦は農業に合っているとつくづく思うのです。
旧正月に端境期が来るので、
来年の新暦の正月は休むのをやめようと思っています。
どんな農作物を作っているかというのを知っていただくには
まずは、野菜を食べてもらいたいですし、
機会があれば是非西原にも来ていただきたいです。

今の農業と昔の農的暮らしの間で揺れながら
まっすぐな眼差しで未来への展望を語る太郎さん。
持続可能な農を模索する太郎さんのお話を伺い、
日本の農業の未来は暗くないな、と感じました。
今後はワークショップ的なものもどんどん開催していくようなので、
これからの形がまた楽しみです。

次回は、おーぬき農場の大貫さんにお話を伺います。

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